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OCDの治療法

OCDの治療法

OCDの認知行動療法


行動療法と薬物療法とを併用することで、より治療効果が得やすくなります。薬物療法のみで治療した人よりも行動療法を併用した人のほうが、再発率が低いという報告もあります。しかし、行動療法も薬物療法もすぐに効果が現れるものではありません。根気よく続けることが大切です。

認知療法と行動療法⇒認知行動療法

認知とはその人の考え方や記憶などをいい、認知療法は自分では気づきにくい考え方の癖にはたらきかけます。行動療法はその人の問題となっている行動の修正を目指します。しかし、これら二つの精神療法は、とても密接にかかわりあっていて、これらの技法を組み合わせて用いられることが増え、二つを合わせて「認知行動療法」と呼ぶことが多くなってきています。

1966年、マイヤーというイギリスの精神科医がOCDの患者さんにこの治療法を用い、「強迫観念の不安を減らすために行う強迫行為を持続的に妨害することにより、強迫観念も減少する」と報告をしたことで、その有効性が確認されました。

曝露反応妨害法の実際

OCDの患者さんによく行われる認知行動療法は、曝露(ばくろ)と反応妨害の二つの技法を組み合わせて行う曝露反応妨害法です。

曝露=
これまで恐れたり避けたりしていた状況に、あえて向き合うこと。そして、恐れていたような悪いことは起きないと学習する。
例)不潔だと感じる床や土にあえて触る
反応妨害=
これまで不安や不快感を消すために行ってきた強迫行為をできるだけしないこと。そして、不安や苦痛が次第に減っていくことを体験する。
例)曝露した直後から、強迫行為としての手洗いをできるだけ行わない。

苦手なものに触れる

手洗いをしない



左の図にある「先行刺激」とは、戸締りのときに確認といった強迫症状が出る人の場合、戸締りの場面に出会うことです。そのときに強迫観念とともに不安が生じます。強迫行為を何度も行うことによって、不安は一時的には下がりますが、次に同じような場面に出合うと、以前と同じように強迫行為への衝動が強くなります。不安そのものがなくなることはなく、強迫行為をやめると、また不安になるといった悪循環に陥ってしまいます。

不安から逃れたいために、「強迫観念→強迫行為」を繰り返していても悪循環になるばかりで、強迫症状の根本的な改善にはつながりません。そのため、治療では、これまでの強迫行為とは逆の行動をする(曝露反応妨害)ことで、悪循環を断ち切ることを目指します。

曝露反応妨害法は、患者さんの恐れていたもの、苦手なものに向き合う療法なので、嫌がる人に無理やり挑戦してもらうわけにはいきません。まず、認知行動療法やOCDのしくみについて、患者さんやそのご家族に理解してもらうために「心理教育」を行います。

そして、「何に対して不安を覚えるのか」「それがどの程度生活に支障をきたしているか」などの状況を調べる「モニタリング」を行い、治療者とともに検証します。その際、一般的には、不安や苦痛がどの程度なのかを「主観的不安尺度(SUDs)」を用いて数値化します。

不安や苦痛が全くない状態を「0」、自分にとって最高に苦痛な状態を「100」と設定し、それと比べて、実際の場面で感じる苦痛や不安は何点かそれぞれの場面を想像して表します。このようにして調べた自分の状況をもとに、治療の目標を具体的に設定していきます。それには「不安階層表」といって、SUDsの点数の高い順に行動療法の目標を書きだした表を用います(左図参照)。

最初から最も苦痛な状態の目標にチャレンジして失敗してしまうより、できそうな課題から行い、成功体験を実感していきます。

曝露反応妨害法の最初の段階では、患者さんは強い不安を覚えます。しかし、この状態をしばらく続けると、不安は下がっていきます。

この結果OCDの患者さんは、恐れていたものに直面して不安になっても、その不安は自然になくなるものだと実感します。そして、曝露反応妨害法では、1回成功すれば終わりというわけではなく、しばらく続けることで強迫行為をしないでいることに慣れていきます。そのため、病院やクリニックだけではなく自宅でもホームワークというかたちで課題を行います。

強迫行為をしなくても不安がなくなることが実感できれば、強迫行為をする価値はないとわかり、だんだんしなくなる方向に向かいます。

最初は、「なぜ、こんなにつらいことをしなくてはいけないのか」と思われる人もいるでしょうが、これまで悩まされてきた強迫行為が少しずつでも減っていくと、生活が過ごしやすくなります。課題を一つずつクリアしていくことが、自信につながることでしょう。勇気をもって治療へ踏み出してください。認知行動療法については、当サイトのコラム、第51回第52回第53回でも取り上げています。

認知行動療法を受けるには

これら一連の作業を一人で行うのは、とても困難なことです。実際に認知行動療法を受けるには、OCDという病気を熟知した治療者と共に行います。治療にあたるのは医師のほかに研修を受けた心理士などです。認知行動療法を行う医療機関は少しずつ増えてきていますが、OCDの行動療法を熟知した治療者は、いまだ十分な人数ではないのが現状です。主治医に相談して、場合によっては紹介を受けましょう。

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◆参考:飯倉康郎・著『強迫性障害の治療ガイド』(ニ瓶社)より