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OCDコラム

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初めてメンタルクリニックに行くとき不安に思う、あれこれ


メンタルクリニックなどこころの病気を扱う医療機関に初めてに行くとき、どんなところなのか不安になったり、どのようにして病院を選べばいいのか戸惑ったりする人も多いようです。
そこで、今回も前回に引き続きOCDお話会*1の参加者の皆さんに協力していただき、受診にまつわる体験を聞きしました。すでに受診している人には、そのとき感じたことを聞き、まだ受診をしたことがない人には、受診をためらう理由、何を不安に感じるのかを聞きました。
いま、このコラムを読んでくださっている方のなかには、受診しようか迷っている人もいらっしゃるかと思います。ぜひ、コラムでご紹介した体験者の声を聞き、参考にしていただければと思います。


目次
§1 メンタルクリニックって怖くない?
§2 無理に入院させられたりしない?
§3 医師との相性ってある?
§4 医療機関をどのように探したか?


§1 メンタルクリニックって怖くない?

まず「精神科」というと、内科や耳鼻科などとはまったく違うイメージがあり、気軽には行けないという声が聞かれました。子どもの頃に見た精神科の病院は、窓に鉄格子がある古い建物であったため、今でも何となく怖いイメージがあるという人もいました。

しかし、現在、通院している人にお話を聞くと、他の診療科に行くのと同じような感覚で行っている人が多いようです。

当サイトの「お近くの病院検索」の登録情報には、医療機関のホームページを公開しているものがあります。なかには、院内の写真が紹介されているものもあり、内科や耳鼻科のクリニックと似たなじみやすい雰囲気のところもよくみられます。こころの病気を扱う病院・クリニックでは、診察にあまり医療機器を用いないので、診察室のなかはシンプルに机とイスがあるだけというところも珍しくなく、病院というよりは普通のお部屋という感じで、少しも怖いイメージはありません。

「お近くの病院検索」で、自分の住む地域にそのようなホームページをもつ医療機関がないか探してみてください。見当たらなかった場合は、もう少し地域を広げて探してみると、親しみやすい病院・クリニックが見つかるかもしれません。精神科、神経科、心療内科という診療科の違いや医療機関の探し方は、当サイトの第63回コラムで取り上げていますので、参考にしてください。


§2 無理に入院させられたりしない?

このコラムをお読みの皆さんのなかには、「入院を強制されたらどうしよう」と心配して受診をためらっている人がいるかもしれません。しかし、医師が入院が必要と判断した場合でも、他の診療科と同じように、入院が必要だという説明を十分に行い、患者さんの同意を得てから行うのが原則です。患者さんの意思を無視して強制的に行うようなことは基本的にはありません。

ただし、自傷他害のおそれがあり、非常に危険な状態である場合や本人の意識がもうろうとしていて判断能力が著しく損なわれている場合には、本人の同意が得られなくても専門医が精神保健福祉法*2に則って判断し、入院ということもあります。

しかし、OCDで医療機関を訪れる人の場合、通常、そのようなことは考えにくく、強迫症状が重いという理由だけで、本人の同意がないのに入院ということはありません。

医療機関には、診療所(クリニック)*3と病院とがあります。また、病院には、総合病院として内科や整形外科などとともに精神科があるものと、精神科だけしかない専門病院とがあります。数は多くありませんが、小児、児童のこころの病気を専門に診る医療機関もあります。

こころの病気を扱う病院やクリニックは、入院設備がないところが多く、OCDの治療も、たいていは通院治療となります。なかには、患者さんや家族が入院を希望する場合もあるのですが、OCDに対して専門的な入院治療ができる医療機関は、全国的にも非常に少ないというのが現状です。


§3 医師との相性ってある?

今回、お話をうかがった人のなかには、最初に行った医療機関では、治療がうまく行かず、何回か病院を変えたという人も少なくはありませんでした。

医療機関を変えた理由としては、次のようなものがありました。
「通院して服薬していたが、いつまでたっても効果がみられなかった」
「診療が短時間で、ほとんど話ができなかった」
「医師がOCDのことを、あまり知らないように思えた」

一方、病院を変更せずに通い続けている理由としては、次のような意見がありました。
「認知行動療法を行っている病院だから」
「医師もしくは心理士が、話をよく聞いてくれる」

メンタルクリニックなどの場合、担当の医師もしくは心理士と話しやすいかどうかも、通院継続の大きな要因のようです。認知行動療法のような専門療法を行っていなくても、医師が話をよく聞いてくれて、自分のことをわかってくれているので通い続けているという声も聞かれました。

しかし、外来診療では、1日にたくさんの患者さんを診るため、初診以降は、患者さん一人ひとりに十分な時間を割くのが難しく、認知行動療法などの精神療法を行う施設も少ないのが現状です。そのため、薬による治療が中心となります。適切な薬の処方で、症状が改善する人がいる一方で、薬物療法だけでは、十分な効果が得られない人もいます。安易に病院を変えることはお勧めできませんが、自分が望む治療を受けるために、医療機関を変えるなどやむを得ない事情もあるようです。

また、話をよく聞いてくれる医師に出会えたという人も、最初に行った病院で出会えたわけではないそうで、「自分と相性のよい先生を探すのって実際には難しい」と話しています。ある人は、はじめは「ちょっと行ってみようかな? その病院があわなかったら、変えればいいや」くらいに思うことにし、受診のハードルを自ら下げたそうです。


§4 医療機関をどのように探したか?

お話を聞いた範囲では、インターネットを利用して医療機関を探したという人が多くいました。ほかには、都道府県の精神保健福祉センター*4や、有名な大学病院に電話で問い合わせたという人もいました。

ある人は、受診しようと思った医療機関へ電話をかけて、そこにはOCDの治療が得意な先生がいるか、認知行動療法を行っているかなど問い合わせたそうです。大きな病院へ問い合わせをすると、多くはそこの総合案内所につながります。なかには、ベテランの看護師さんに、病院内の情報にとどまらず、地域の情報まで親切に教えてもらったという人もいました。

また、本人が受診したがらない場合、家族は何とかして医療機関につなげられないものかと考えることも珍しくありません。既に通院している人に、初めて受診したときについて質問をすると、自分から受診した人もいれば、親や配偶者の勧めがあって受診する気になったという人もいました。

そして、おおぜいの人が、初めてメンタルクリニックへ行ったときは、とても勇気がいったといいます。また、外出すること自体が、時間がかかって大変という人もいました。

受診した後の状況は、人それぞれですが、受診を決心して一歩前に進むということは、何らかの変化を生んでいくのではないでしょうか。全国には、医療機関を探している最中の人、不安を抱えながらも病院に通っている仲間、病院に行くことが少しずつ負担ではなくなってきた人が、たくさんいるのだろうと思います。その状態は人それぞれですが、今より少しでも改善したいという思いは共通なのではないかと思います。


*注釈
*1 OCDお話会――強迫性障害の患者と家族のための会。東京都三鷹市で、会合を開催しています。くわしくは、下記のホームページをご覧ください。
http://kyou89.fc2web.com/ohanashi.htm
*2 精神保健福祉法――「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の略称で、精神障害者の医療及び保護、保健、福祉のための法律です。入院については、本人が同意して行う任意入院と、患者の保護のために行われる措置入院、医療保護入院などとがあります。そのような入院に関して、患者の人権を守り、適切に行われるために必要な手続きが書かれています。
*3 診療所(クリニック)――医療法では、診療所は入院設備がないか、あっても19床以下の施設です。20床以上の入院設備をもつものを病院といいます。
*4 精神保健福祉センター――精神保健福祉法によって設置された、各都道府県において、地域での精神保健福祉の拠点となる施設です。精神保健福祉相談、精神障害者に対する支援のための事業、地域でそれに関連する業務に就く職員のための研修など、さまざまな事業を行っています。