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OCDコラム

OCDコラム

OCDでよく見られる症状をわかりやすく
②確認



強迫症/強迫性障害(OCD)では、“確認”を何度も繰り返してしまう症状をもつ人がいます。OCDでの確認は、よく見られる強迫行為で、症状が現れる場面としては、戸締りがちゃんとされているか、仕事でミスがないか、忘れ物をしていないか、髪形がおかしくないかなど、あらゆる場面で起こりえます。今回のコラムでは、OCDでの確認とはどのような症状なのかを知っていただくために、よく見られるケースを紹介します。

目次
§1 戸締り、火の元の確認でのOCD
§2 ミスがないかの確認が過剰なケース
§3 大切なものを失わないかが気になる
§4 社会で理解されにくいOCD



§1 戸締り、火の元の確認でのOCD

OCDで、戸締り、火の元の確認に時間がかかり、困ってしまう人は少なくありません。自宅や職場で最後に戸締りを行う人、一人暮らしで自分以外に確かめる人がいない人などから、このようなOCDの訴えを聞くことが多いです。
戸締り、火の元の確認は、誰もが行いますし、確認の方法や費やす時間も人それぞれです。それらの確認と、OCDでの確認とは、どのように違うのかを解説します。


【戸締り、火の元の確認をするおもな場面】
ドア・窓の鍵、電気機器のスイッチ、コンセントの差込口、ガス器具のスイッチ、ガスの元栓など



【戸締り、火の元の確認での強迫行為の例】
OCDが重くなるほど、自分の意思に反して、これらに費やされる手間が増えてしまいます。
このような確認の強迫行為をしているときは、患者さんの頭の中では、次のような強迫観念が生じています。


OCDが重症化するほど、OCDによって浪費される時間も増え、精神的な苦痛や疲労も大きくなります。OCDかどうかの目安は、診断基準[1]によると、過剰な確認で浪費される時間の合計が1日で1時間以上とされています。

§2 ミスがないかの確認が過剰なケース

学校、職場、家庭で「うっかりミスや忘れ物を減らすために、確認しましょう」などと言われた経験は、ほとんどの人があるのではないでしょうか。また、車の運転や道路を横断するときには、左右が安全かを確かめるように、確認が必要な場合もあります。しかし、OCDでは、ミスや忘れ物をしないための確認が過剰となり、日常生活に支障をきたしてしまいます。このような確認の強迫症状は、子どもでも大人でも幅広い年齢の人が、さまざまな場面で経験することがあります。

【OCDでミスが気になるおもな場面と考えの例】


解説
ミスが気になる確認の強迫行為が生じているときの強迫観念は、戸締り、火の元の場合と似ていて、一度確認しても、どこか不十分な感覚がして、それがきっかけで悪いことが起きないかという心配が続いてしまいます。そのために、OCDが重症化するほど、確認が完了するまでの不安や恐怖のような嫌な感情も強く、確認の回数、方法、それに費やされる時間が増えてしまいます。そのため、勉強や仕事で本来の実力が発揮できなくなってしまいます。



§3 大切なものを失わないかが気になる

自分の大事な物を、うっかり失ってしまうことへの心配から確認が過剰になってしまうタイプの人もいます。いずれの場面での確認も、多少であれば、OCDでなくても誰もが行うものですが、OCDでは精神的な苦痛をもたらすほどになってしまいます。

【OCDで大切な物を失うことが気になる場面と考えの例】



大切なものの範囲を、物質だけでなく、自分自身、家族、勤務先というように広げて考えると、他にもさまざまな場面で、確認の強迫行為に悩まされる人がいます。

【その他の確認をしたくなる場面と考えの例】



解説
OCDでの確認は、大切なものを失わないために本来必要である範囲を超え、ルールや回数が過剰となっていきます。たとえば、何か落としたという感覚があったわけではないのに、レストランなどを去るときにはイスやテーブルの下など常に隅々まで見ないではいられないという人や、ゴミを出す前に、ゴミ箱からゴミを全部出して1つ1つ確認するという人もいます。
一般的なOCDでは、自分の意思に反して強迫行為に時間を取られてしまっているという感覚はあるのですが、どこまでが必要な行為で、どこからが過剰なのかその境界がわかりにくくなります。

§4 社会で理解されにくいOCD

社会的には、うっかりミスをなくし、自分がしたことに責任をもつことはよいこととされます。しかし、OCDになると、それが限度を超え、自分の心身に負担をかけてしまいます。
強迫症状が高じると、非常に警戒しながら確認を行い、しかも費やされる時間が増すため、とても疲れてしまいます。そのため、学校や職場に遅刻したり、作業が遅くなってしまうことがあり、さらに重症化すると、学校や職場に通うことすら困難となります。
本人にとっても、周囲の人にOCDのことは言いづらいので秘密にしがちですが、伝えないことで誤解されることがあります。遅刻しないためには、外出前の準備を始める時間を早めればいいと思う人もいるでしょうが、それでもなかなか強迫行為が終わらずに、かえって強迫行為の時間が長くなったり、睡眠時間が減ってしまうことがあります。


このような確認のOCDという病気があることを、社会の多くの人に知っていただき、理解が広がればと思います。そして、適切な診療が普及し、患者さんのOCDの改善に結びつきやすい医療体制になってほしいと思います。

*参考
[1] American Psychiatric Association[著]日本精神神経学会[日本語版用語監修]『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院(2014年)

*確認のOCDについて、さらに知りたい人は、以下のコラムもお読みください。

第107回 これって強迫性障害? それとも、ただの心配性? ②確認
http://ocd-net.jp/column/c_107.html
第146回 個人情報への過剰な心配とOCD
http://ocd-net.jp/column/c_146.html