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第159回 OCD体験者座談会2017 Vol.1 (全2回)
子どものOCD そのとき家族は


今年の座談会では、強迫症/強迫性障害(OCD)のお子さんと暮らしていらっしゃるお母様3名にご参加いただきました。
お子さんの強迫症状について、家族としてできること、母親としての想い、学校との対応などについてお話いただきました。ほかのご家族の体験を知ることで、同じような状況にいらっしゃる方々へ、今後のOCDへの対応のヒントにしていただければと思います。司会は今年も認定行動療法士の有園正俊さんにお願いしています。


目次
§1 強迫症の発症
§2 精神科への受診
§3 家族も悩む


§1 強迫症の発症

有園

有園正俊さん
OCDお話会世話人
認定行動療法士
精神保健福祉士
今日は皆さんの体験をもとに自由な発言をしていただければと思います。まずは、お子さんの年齢・学年と性別を教えてください。

うさぎ
子どもは高校1年の15歳です。女の子です。


フクロウ
17歳の高3の男子です。


パンダ
学年は高校1年生になりました。15歳、男子です。


有園
OCDの発症時は、何歳ぐらいのときで、どんな症状に気づかれましたか。

うさぎ
中学1年の夏ぐらい。「やたらと確認が多いのでおかしい」というのが最初に感じたことです。ドアを閉めるときも、やたらと時間がかかるので、おかしいなと思いました。

フクロウ
ひどくなったのは高校2年の夏からですが、高1の夏あたりに時間割をすごく気にして何回も確認したり、時間をすごく気にしたりして、後で思い起こせば、OCDの症状が少しずつ出ていたのかなと思います。

パンダ
うちは小さい頃からです。双子で、もう1人に比べてやや神経質で、物を一列にきっちり並べたり、絵本やノートなどちょっとでも紙がよれたりするとすごく嫌がるところがありました。しかし、親のいうことをよく聞きますし、もう1人に比べて育てやすかったです。
小学5年生のとき、主人の希望で、中学受験のために塾に入れたのですが、受験間際になって全く勉強しなくなってしまいました。その辺りから、たぶん本人は精神的にいっぱい、いっぱいだったと思います。
受験に失敗して、もう1人と違う中学校に行かなければいけなくなりました。その頃から、汚い汚いとウエットティッシュをたくさん使ってテーブルを拭いていました。手も何度も何度も洗うようになり、髪の毛を触れない、洋服が汚いから触れない、ご飯も食べられないと言い始めて、私もこれは普通じゃないと思って、精神科のクリニックに連れて行きました。
先生からは「受験の失敗もあったし、中学の入学前で緊張しているんじゃないか。入学したら慣れてくるから大丈夫だろう」と言われたのですが、入学式を過ぎたら悪化して、自分は汚いからとウエットティッシュで自分の足跡を、血相を変えたように拭きまくり、パンツが汚れると心配しトイレも頻繁、ご飯は食べなくなり、3日で学校に行けなくなりました。

有園
お子さんの変化に気づいたとき、最初は、どう話してみましたか。また、本人からは何か言ってきましたか。

うさぎ
あまり口にはだしませんでした。言うときは「ちょっと確認多いね」「ちょっと疲れているかな」という遠回しの言い方で、「ちょっとやめようか」と話したときも、「わかった。もうやめる」みたいな感じですけど、口だけでした。

有園
「わかった」といってもなかなか変えられないのが、この病気の難しいところですね。その頃は、反抗期でしたか。

うさぎ
反抗期かどうかはわからないけど、もがいているような感じがあったので、私もどういうふうに接していいのか、悩んでいました。発達障害もあるのかと思っていたときだったので。

有園
そのような状態は続いたのですか。

うさぎ
エスカレートしていきました。3カ月ぐらいしてまずいなと思いました。うちの場合、確認の対象がくるくる変わっていったので、親も途方に暮れていました。

有園
フクロウさんのところはどうでしたか。

フクロウ
前の晩に、何回も確認して時間割をそろえたはずなのに、朝も繰り返し確認していました。「そんなに確認しなくていいよね」と本人もいうのですが、確認しなくてはいられないみたいでした。
少しおっとりしているところがある子なので、慎重に確認しているのかと思っていたのですが、今から思えば強迫の症状が現れていたのかなと思います。

有園
学校の状況は、どうでしたか。

フクロウ
学校での人間関係があまりうまくいかないときがあって、たまにちょっと爆発することがありました。

有園
パンダさんは、3日で中学校へ行けなくなったということでしたが、新しい学校が合わないと思っていたのでしょうか、それとも受験の失敗が大きかったと思いますか。

パンダ
受験勉強が辛かったことや、失敗して双子のもう1人と一緒の学校に行けなかったことが、きっかけになったと思います。小さい頃から、あまり不満をいわない子どもだったので、私立中学に入学が決まって、強迫の症状が出てきて様子がおかしくなったときに気になって「あなた、大丈夫? 行きたくないなら入学を辞めていいよ」と言ったのですが、心配させないように「大丈夫、頑張るから」と言うんです。
しかし、目は血走っているし、体は緊張でこわばっているし、入学式当日は、唇が青くなるほど緊張していました。
先ほども申し上げましたが、入学後は、お弁当にも手を付けずに、疲れきって帰ってきて、「パンツが汚れる」といって、トイレを何度も見に行くようになりました。「自分は汚いから」といい、自分の歩いた跡を血走った目で拭き始めるようになりました。
そこで、精神科の先生に相談して、3カ月くらい学校を休ませて様子をみることになりました。



§2 精神科への受診

有園
精神科へ行くということに対して、本人はどう感じているようでしたか。

パンダ
最初は無理やり連れていった感じです。でも、よく話を聞いてくれる先生だったので、その後は嫌がらずに行くようになりました。繊細な部分がある子でしたが、いい子だったので、こうなるなんて想像もしていませんでした。

有園
うさぎさんは、だんだんと症状がエスカレートしてきた後はどうしましたか。

うさぎ
もともと場面緘黙(かんもく*)で大学病院の精神科に通っていたので、そこの先生に相談しました。

有園
場面緘黙というのは、特定の場面になると話せない、言葉が出なくなくなる状態です。どのような場面で言葉が出ない状態でしたか。

うさぎ
2年生までは、お友だちと話していましたが、小学校3年から、友だちの前や学校では、一切話せなくなりました。学校の先生とも話せないので、ときどき私が学校に行って、誰もいない別の部屋で、子どもと先生の間に入って話していました。6年までがひどかったです。その分、うちではよく話していました。

有園
場面緘黙で精神科へかかったのはいつですか。

うさぎ
小学校6年のとき、担任の先生から精神科に行ったほうがいいと言われて、大学病院を教えていただきました。

有園
初めて精神科へ行ったときはどのような感じでしたか。

うさぎ
精神科に、子どもを連れていくということにとても不安でしたけど、もう駆け込むしかないと思いまして。

有園
フクロウさんはいかがでした?

フクロウ
高1のときから、試験前になると緊張して精神的に不安定になるので、子どもの精神科に通いました。
そこでは、私が席を外しているときに、医師に人間関係でつまずいたとか、ちょっと数学が苦手だとか、お話したようです。先生から「数学なんかできなくても大丈夫だよ」といわれたそうで、溜めていた思いを吐き出すことができて、よかったのかなと思います。しかし、今一つよくなるという感じはなかったんです。

有園
強迫症があらわれたときは?

フクロウ
高2の夏、クラブの合宿で、ちょっとした事で眠れなくなってしまい、精神的にまいってしまったらしいです。また、合宿先でゴキブリが出たそうで、家に帰ってきた後も、ゴキブリが気になってしょうがなくなりました。
合宿から帰って来た翌日から家族で旅行に出かけたのですが、その旅行先でインターネットでの架空請求が気になり、また時差も重なり眠れなくなってしまったんです。「架空請求されないか紙に書いてくれ」と言われて、主人も私も、何回も書かされたり、口でも言わされていました。海に行っても「もしかしたら飛び込んじゃうかもしれない」と話し、症状が悪化してしまいました。
旅行から帰ってきた後も、「こんなにずっと考えているんだったら死にたい」と言いだすようになり、無理やり病院やカウンセリングに連れていきました。
大学病院の精神科に行って、薬をいただいて、どうにか飲ませました。薬で一時的にもうろうとしていましたけど、症状はよくならなくて、ずっと不安定な状況でした。

有園
薬を飲むことに本人は抵抗がありませんでしたか。

フクロウ
本人はないようでした。でも、私は薬が怖くて、できるだけ飲ませないようにして、鍼やカウンセリングなどいろいろと連れていきました。家にいると、症状のことばかり考えるので、無理やり外に連れ出しました。
新学期が始まってからは、私が学校まで送っていって、先生に預けるのですけど、みんなと一緒の教室に入るのは怖いと言って、最初は面談室に1人でいたり、保健室にいさせてもらったりしていました。そして、教室に行けても1、2時間で「もう駄目です」と電話がかかってくるんです。そういうことを繰り返しながら、少しずつ学校にいられる時間が長くなっていって、今は普通に通える状態になりました。

有園
いま、精神科のお薬が怖いという話が出ましたが、皆さんはお薬に対してどのように思っていますか。

うさぎ
私は、子どもが飲むとなるとやはり心配で、副作用についてすごく調べました。本人は、薬を飲むと「ちょっといい」といい、納得していまも飲んでいます。

有園
パンダさんのところはいかがですか?

パンダ
うちは、私が昔から頭痛もちで、頭痛薬をよく飲んでいたので、そんなに薬には抵抗ありませんでした。もう頼るのは精神科の先生しかいない、薬は必要と思ったので、飲ませていました。ただ、薬が合わずに怒りっぽくなったり眠りすぎることがあり何度か変更してもらうこともありました。うまく合う薬は見つけにくいんだなと思いました。



§3 家族も悩む

有園
強迫症状に、親や家族を巻き込んだことはありましたか。 

うさぎ
うちの子は確認強迫なので、思いっきり巻き込まれます。「お母さんはやりたくない」とけんかになることもあります。お互いに泣いたりもしましたね。

フクロウ
うちもそうです。本人は、頭の中で同じ悩みがぐるぐるしているようで、確認してきます。最後に、けんかになって家庭の雰囲気が悪くなったりします。
最近は、「インターネットの情報は、ウソかホントかわからないのだから検索しちゃ駄目」と言っているのですけど、調べるといろいろ出てきて、またそれが悩みになってしまって、どんどん悩みを自分で作ってしまいます。

有園
パンダさんのところは、巻き込みはどうですか。

パンダ
巻き込みはなかったです。自分だけでやっていて、拭きすぎ、洗いすぎをやめさせようとしても、振り払ってやっていました。ただ、主人が、ウエットティッシュやボディーシャンプー、ハンドソープなどを買い与えていました。

有園
皆さん、ほかの兄弟姉妹の反応はいかがですか。

うさぎ
うちは3歳下に弟がいて、思いっきり巻き込まれています。「もうやめなよ」となだめていましたけど、仲はいいほうです。

フクロウ
うちは3つ上の姉なので、本気で弟を説得していますね。仲はいいほうですね。

パンダ
うちは双子の上に女の子がいます。発症した頃、娘も大学受験を控えていましたし、双子のもう1人も、中学に入り新しい環境で大変だったと思います。子どもたちには平等に接しているつもりだったのですが、その子に重点的になってしまっていたようで、娘からは「私だって大変なんだよ」と言われましたし、もう1人の双子の子は、毎日朝になると、駅まで車で送ってくれと言いだし、赤ちゃん返りのようになりました。ほかの子たちも、相当疲弊していました。私もちょっと精神的に病んできて精神科に行きました。主人も態度に出しませんが、会社とうちと辛い状況、家族はいっぱい、いっぱいでした。

有園
ほかの兄弟姉妹は、精神的な症状を抱えていないんですね。だから、OCDは、親の育て方によるわけではないと思います。なんでうちの子がOCDになったのかと悩みましたか。 

うさぎ
「なんでうちの子が?」というのはありました。私もちょっと強迫っぽいところがあるので、うつったのかなとか、悩みました。私の父も強迫っぽい。強迫症という病気を知った段階で、実は父も私もそうだったと思いました。申し訳ないという気持ちがあり、治してあげなきゃいけないと思いました。

有園
フクロウさんはいかがですか?

フクロウ
うちの子はプレッシャーにもともと弱いというか……。小さい頃から、人にちょっかいをかけることを「やめなさい」と言ってもやめないとか、若干手がかかると思ったことがあります。それと、とてもマイペースでした。それほど心配はしていなかったですが、人間関係もどちらかというと苦手で、優しい人とは付き合えるけど、ちょっと強い男の子とは付き合えないところがあり、そのようなところが中学に入ってから、際だってきました。

パンダ
私もちょうどそのときくらいに更年期なのか、いらいらすることが多くて、子どもにあたることがあって、散らかしていたりすると怒鳴ったりすることがあったので、あの子は感じやすい子なので、身につまされてしまったのかと思うと申し訳なくて。

有園
パンダさんのところは、親にとっては手がかからないというか、自分で抱えこんでしまうタイプのお子さんなのですよね。それが中学受験のときに、抱えきれなくなってしまったとすると、お母さんが原因とはいえないと思います。

パンダ
親が怒っていても、双子のもう1人はそんなに反省しない様子ですが、OCDを抱えている子は、こわごわした目でこっちを見ている感じでした。反応があるほうが叱りやすかったので、あの子ばっかり怒ってしまったんだろうと思います。かわいそうだった。

有園
双子でも、親への反応が違うことはありますね。そして、親にとっても、対応に悩むことはあるかと思います。


次回のコラムでは、座談会の後編をお届けします。


*注釈
場面緘黙(かんもく*)―――選択性緘黙ともいいます。学校など特定の集団や交流の場で、話すことができないものです。身近な家族などとは話せますが、苦手な状況では、一貫して話せなくなります。低年齢で発症しやすく、幼稚園や小学校に通うころから、症状が目立つようになることがあります。