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第150回 OCD患者さんアンケート 強迫的な考えと生活への支障


強迫症/強迫性障害(OCD)の患者さん6名に、OCDに襲われているとき、頭の中ではどのような考えや感情が生じているのか、それによって日常生活や社会生活で困っていることはないかをお聞きしました。
家族は、「手を何度も洗う」「何度も鍵が閉まっているか確認する」など見てわかる強迫行為には気がついても、頭の中の強迫観念と強迫行為については、なかなか理解が及ばず患者さんにも聞けないでいることがあります。
今回のアンケート調査では、家族の理解についても質問をしました。症状の理解のためには、お互いの気持ちを率直に聞けるとよいのです。今回のコラムは、OCD患者さんのご家族にも、読んでいただければと思います。


目次
§1 強迫的な考えと支障についての回答
§2 家族のOCDへの理解



§1 強迫的な考えと支障についての回答


OCDと診断された経験のある患者さん10~40代の6名(匿名)に、以下の質問をし、文章で回答していただきました。その際、強迫観念は、不潔や加害など複数のタイプを抱える場合でも、どれか1つのタイプを挙げてもらいました。

Q「どのような強迫観念が頭によぎるのか?」
Q「どのような強迫行為があるのか?」
Q「そのために、日常生活、外出、仕事で支障をきたしているのはどのような場面か?」


お寄せいただいた回答内容はコラムを読む皆さまにわかりやすく伝えるために、「強迫観念」、それを打ち消すための「強迫行為(頭の中の強迫行為を含む)」「日常や社会生活での支障」の3つに分けて、内容に変更のない範囲で一部修正しています。

強迫観念で思い浮かぶ考えや強迫行為は、程度が軽いものなら誰しも経験することがありますが、OCDでは、その範囲が過剰で、警戒感が強くなっています。そして、重度の人ほど、強迫行為が終わるまで、頭の中を強迫観念が襲い続けます。そのため、いったん、強迫行為が始まってしまうと、OCDに逆らって途中で切り上げることは困難となります。さらに、 強迫行為(*1)のやり方は、個人差はありますが、患者さんの本来の希望に反し、むしろOCDに支配されたものになってしまうため、患者さん自身も非常につらく感じてしまいます。 ただし、強迫的な性格(パーソナリティ)や、発達障害によるこだわりの強さを併存したタイプでは、自分の意思・欲求によって行動している面が大きく、行動への違和感が少ないことがあります。

§2 家族のOCDへの理解

家族が、どのようにOCDを理解しているのかについて質問した結果は、次のようでした。

OCDに限りませんが、精神疾患では、その人の考えや感情という内面に症状が現れるため、家族であっても経験がない場合、想像するのは難しいものです。
しかし、上記のような強迫症状に襲われているときの気持ち(精神状態)を知ることで、症状への理解が深まります。さらに、そのような話し合いは、どちらかが一方的に話すのではなく、お互いの考えや気持ちを述べる建設的な内容であるといいのです。ただし、家族関係によっては、それが非常に難しい場合もあります。


また、家族がOCDを理解することと、症状に巻き込まれることはまったく異なります。患者さんから要望されても、強迫症状への巻き込みになりそうなことは、できるだけ拒否する必要があると家族の方は理解していただけるといいのです。症状に巻き込まれることは、病気の悪化につながります。

精神医学の専門家が、一般向けにわかりやすく書いた本やインターネットの情報もあるので、それらを参考にすることはOCDという病気への理解に役立つと思います。
ただし、医療や心理の専門家でも、くわしい理解が難しい面もあるのですから、本やインターネットの情報だけで、一般の人が正確に判断をするのは非常に難しい場合があります。自分や家族の置かれた現状を受け止め、その範囲で、専門家に意見を求め、できる手段を探していくことが大切なのだろうと思います。


*注釈
*1強迫行為――英語ではcompulsionといい、強制的、既定通りにしなくてはならないという意味です。自由にしたり、しなかったりができる行為は、強迫行為になりません。