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OCD体験者座談会2015 Vol.1 (全2回)
心配性では済まされない確認への強迫症状


今年の座談会では、確認への強迫症状を今も抱えている女性3名に参加していただき、悩みや困っていることを語っていただきました。
OCDでの確認は、年齢や性別が異なっても、気になるポイントが似ていることがあり、同じようなことで悩んでいる人は少なくありません。OCDにとらわれているときは、他人の視点で判断することは難しいものですが、ほかの患者さんの話を聞くことで、自分の症状を客観的に見るためのヒントにしていただければと思います。最後に、解説も加えましたので、参考にしてください。司会は今年も精神保健福祉士の有園正俊さんにお願いしています。


目次
§1 OCD発症の頃の状況
§2 使っていなくても気になる火災への恐怖
§3 外出するまでが大変
§4 ゴミを捨てる前にかられる疑念
§5 解説


§1 OCD発症の頃の状況

有園

本日、司会を務めます有園です。まずは皆さんの自己紹介をお願いします。

うどん
40代で、家族は主人と高校生の娘が一人います。仕事はパートをしています。

おすし
20代です。広告関係の仕事をしています。2年前に上京してきて、一人暮らしをしています。

あずき
40代で、事務の仕事をしています。

有薗
OCDを発症したのは、いつ頃で、どのようなものでしたか。

うどん
私は、はっきりした発症の時期がわからなくて、ちょっとずつひどくなってきたかたちです。以前は、確認が多かったり、心配性なのは性格だと思っていました。パソコンが普及してから、インターネットで、私と同じような症状が書いてあったのを見て、「これって性格じゃなくて、病気なんだ」と気づきました。今日は主人が家で留守番をしてくれているから、火事の心配をせず、すんなり家を出られたのですが、ふだん仕事に行くときは、家に誰もいないと思うと、確認にすごく時間がかかるんですよ。

有園
何年前くらいから悪化したのですか。

うどん
同じような症状は20年くらい前にも出ているんですが、重くなってきたと自覚したのは、10年くらい前です。

おすし
私は小学生のときから、人から借りたものは「大事に保管しなくちゃ」とか、本を返すときにも、「人に見られて恥ずかしいメモが挟まっていたら」とか心配になって、ぱらぱらめくって、背表紙も見てから返していました。図書館の本にもすごく気を遣っていたんです。高校卒業したくらいからひどくなり、外出するとき、戸締りをすごく細かくチェックするようになりました。それでも、その頃は出かけなくてはいけない時間にはちゃんと切り上げていました。
周りの人や家族から「すごい心配性」と思われていました。強迫性障害という病気だと気づいたのは、いっしょに上京してきた友だちに、「最近、戸締りがうまくいかないんだ」と話したら、「それ病気かもよ」といわれて、調べてみたときです。

あずき
私は40歳過ぎて一人暮らしを始めてからです。朝、外出するときに「IH(IHクッキングヒーター)は使っていないけど、本当に消えているよね」と見ていたら、消えているか消えていないか、わからなくなってしまいました。(★1)そこで、強迫の扉が開いてしまった感じです。
それから、2、3か月経って、加害恐怖が始まりました。車に乗っていて、ちょっと「ガタッ」と音がしただけでも、何か轢いたかもしれないと不安になり、車で同じところを何回もまわってしまいました。ほかにも、落とし物をしてほかの人に迷惑をかけるのではないかと心配で、切符を買うときに財布を出すだけでも、落し物をしたんじゃないかという気持ちになりました。今は、加害恐怖や落し物への不安がなくなって、だいぶ楽になりました。



§2 使っていなくても気になる火災への恐怖

有園
3人とも火の始末が気になるようですが、どのようなところが気になりますか。

うどん
消えているとわかっていても、自分の目が火を見落としているのではないかと、気になってしまって。

あずき
私も消えているとわかっているけど、それに対して自信がなくて。あと、確認がクセになっているので「あっさり外出したらダメなんじゃないか」という強迫観念が湧いてきて、出かけられなくなりました。

おすし
まったく同じです。IHのランプが消えているか電気をつけて確認して、ランプが消えていると確認できたら、次に電気を消して再確認して、IHの天面を触って「冷えている」と確認します。天面に埃が降って火がついたりしないかと、本当に余計なことばかり考えて、IHの前で固まってしまうことがありました。
最近、引っ越して、そこもIHなんですけど、怖いから1回も使っていないんです。(★2)今は、IHをまったく使っていないので、確認しないでも出かけられます。でも、料理も作れないし、何とかしないといけないと考えています。

有園
IHやガスレンジのほかに、火の元について気になることはありますか。

あずき
アイロン。寝る前にアイロンをかけるのですが、朝、出かけるときに、「ちゃんと仕舞ってあるな」「定位置にあるな」と念入りに確認します。

うどん
電気のコンセントも発火するんじゃないかと気になります。(★3)抜いて構わないものは、家を出るときにすべて抜きます。

おすし
コンセントは私の最大の敵でして、冷蔵庫と電子レンジ以外は全部抜いています。寝るときにはテレビのコンセントも抜きます。出かけるときには、必ずコンセントを確認します。抜けていても気になって、ずっと見ちゃったり、戻ったりしちゃうんです。

あずき
私も冷蔵庫と電子レンジ以外はコンセントを抜いて出かけていたんですけど、逆に、コンセントを差すときに髪の毛を一緒に入れたかもしれないと怖くなってしまったんです。コンセントを差すときにホコリとかを一緒に入れないか、ということのほうが怖いです。だから、今は、差しっぱなしにして、ゴミが入らないようふたがついている延長コードを使っています。
「コンセントにホコリなど入ると、火事にならないですか」とカウンセリングのときに聞いたら、カウンセラーの先生が理論的に説明してくれたので、だいぶ落ち着つきました。



§3 外出するまでが大変

有園
外出するときはどうですか。

うどん
2階の窓から順番に、鍵がかかっているか見て、1階に降りて、全部かかっている、「よし!」と確認します。そして、私は火の元を見るんですけど、それから、玄関のドアを閉めるときに、ドアノブをガチャ! ガチャ! と強く回して確認します。主人から「壊れるからやめて」といわれます。「3」や「5」の数字が好きで、「ガチャ! ガチャ! ガチャ!」と3回確認したりしますが、たぶん近所の人もうるさいと思っていますよね。

おすし
外出するときは、部屋の端から、「コンセント、よし!」と見て、冷蔵庫の扉がちゃんと閉まっているか押して確認したり、エアコンがちゃんと消えているか、水道の蛇口も手が痛くなるくらいきつく閉めて、水がポタポタしていないかをチェックしているんです。だから、時間がすごくかかります。あと、ドアを閉めるとき、私も「ガチャ! ガチャ! ガチャ!」とやっちゃいます。

あずき
ワンルームマンションなんですけど、窓の戸締りと、エアコン、コンセントにアイロン。IHが怖いので、調理器具は鍋を1つしか持っていないんですが、鍋がいつもの場所にあるのかを見て、電気が消えているかを確認します。玄関の近くにあるIHの前で、消えているかを確認するのに結構時間がかかってしまって、10分弱かかることもあります。それで、最後に鍵を閉めます。引っ越してすぐのころに、「ガチャガチャ! ガチャガチャ!」とドアの確認をしていたら、隣の人から苦情が来てしまって。だから、今は音を立てずにギュウギュウギュウってドアノブを回して確認して出掛けます。

有園
外出のときは戸締りにどのくらい時間がかかりますか

うどん
主人と娘を駅まで車で送迎しているんですが、そういうときはすぐに自宅に戻れるから、すんなり行けます。けれど、仕事に行くときは10分はかかります。

おすし
休みの日とか、約束もなく一人で出掛けるときは、3分もかかっていないと思います。それが会社とか、旅行とか、美容室に予約した時間までに行かなくてはいけないとか、何か制約とか約束事が出てくると、すごく慎重になってしまって、だいたい30分くらい部屋をうろうろしているんです。
5月に、旅行に行ったんですけど、戸締りに時間がかかって、飛行機に乗り遅れたら困ると思い、前日から、友だちの家に泊めてもらうことにしたんです。友だちの家に行くとき、確認にすごく時間がかかってしまって、そのころは、携帯電話で、確認したところの写真を全部撮る(★4)ということをしていたんです。写真を撮りすぎて、満タンにしていた充電がなくなっちゃって。このときの確認は1時間くらい、普段の2倍かかって、へとへとになって友だちの家に行きました。

あずき
私は15分かかります。

有園
結構疲れますか、皆さん。

あずき
疲れるけど、毎日のことなんで、そんなものかと思っています。

おすし
私は水道の蛇口の閉め忘れも気になります。排水溝が詰まっていて、そこにポタポタと水が垂れたら、水があふれて大変なことになると心配になります。給湯器はもっと心配で、うちはオール電化システムなんですが、水漏れしていて、給湯器のお湯を全部使いきっちゃったらお風呂に入れないとか、機械が壊れたらと考えて怖いです。

有園
今までに排水溝を詰まらせたことはあるんですか。

おすし
ないですけど、「もしも」を考えてしまいます。(★5)実家にいたときに、家族の誰かが蛇口をちゃんと閉めないまま、出掛けてしまったことがあって、それから水道をチェックするようになってしまいました。

有園
家族の不注意に対して、あなた方がチェックするようになった経験はありますか。

うどん
あります。家族を信用してないわけではないけど、任せると不安に思うときがあります。主人や娘から、「どうせまたお母さんが見直すんでしょう」といわれています。知人からATMでおろしたお金を取り忘れて、その場を離れたら、現金をほかの人に持っていかれたという話を聞いたことがあり、もしかしたら私もしてしまうんじゃないかなと怖くなりました。人の失敗から自分も気をつけようと思います。そういうことないですか。

あずき
私は2パターンあって、うどんさんみたいに「あ、怖い」と思うときと、「ほかの人ってこんなに適当なんだ、そんなに心配しなくても何とかなるんだ」と思えるときがあります。

うどん
そっか、そういう考え方もあるんですね。



§4 ゴミを捨てる前にかられる疑念

あずき
私はゴミを捨てるときとか、自分から離れていくものが怖いので、会社でゴミを捨てるときも、ちゃんと分別しているんです。でも、びっくりするような分別の方法でゴミを捨てている人がいて、そういうのを見ると、こんなに神経質にならなくていいのかなという気もします。適当にやっている人の様子を見ると、ほっとするというか、自分のパターンで凝り固まっているのが、ちょっとやわらぎます。

うどん
そういうふうに考えれば、私も気が楽になったのかもしれないですね。

おすし
引っ越す前の家ではゴミを置いておきたくなくて。変な話ですが、ゴミが燃えたらどうしようと不安になってしまいました。

あずき
ゴミ捨てに関しては、加害強迫みたいなところがあって、私が分別を間違えたことで、焼却施設に迷惑をかけるのではないか、という心配があります。また、生ゴミを捨てる水切りネットをうっかり間違えて、排水溝に流したら怖いので、それをちゃんと捨てたか確認します。ゴミの日にちゃんとゴミとして出しているのか、心配になります。「ゴミ置き場に自分のゴミ置いたよね?」と何度も見ていると、置いたか置いていないのかわからなくなっちゃうので、「置いた、おしまい」と唱えるようにしたら、だいぶ楽になりました。

うどん
私は、生ゴミは捨てられるんですが、紙類が捨てられなくて。捨てる紙のなかに重要な書類が紛れていたらと思うと、捨てられないんです。捨ててしまったら取り返しがつかなくなるので、自分が見落としているのではないかと思って捨てられないんです。

有園
新聞紙とかはどうですか。

うどん
捨てられない。カウンセラーの方に教えてもらった方法で少しずつ捨ててはいるんです。でも、1回見てからでないと捨てられないです。

おすし
ひどいときは、会社でも、終了した案件の資料を捨てていいのか困って、古い書類などがたまっていきます。それで机がきたないと怒られます。半年たったから捨てようと思っても、大事なものが挟まっていないか、本当にこれは今後必要ないのかということを見るために確認をします。ホッチキスで留まっていたら外して、捨てるときには1枚ずつ丸めたりちぎったりして捨てていたので、大変でした。

あずき
私も会社の書類、古くて使わないものでも、捨てて何か迷惑がかからないか、考えます。

有園
ほかに、自分から離れていくものの確認はどうですか。

おすし
会社で郵便物を発送するときに気になります。宛名に間違いがないかも気になるんですけど、封をした後も、必要な書類がちゃんと入っているか、逆に余計なものが入っていないかとか考えてしまって、結局、開封して中身を確認して、また宛名から書き直すことが結構あります。

あずき
誰かにプレゼントをあげるときに、関係ないもの、私のいらないものまで袋に入れていたらどうしようと思うことがありました。「もう一回、さっき渡したものを見せてもらってもいいですか」と確認することがありました。



§5 解説

★1 強迫行為を何度もしていると、わからなくなってしまう――自分の判断に確信がもてなくなるのも強迫観念です。IHクッキングヒーターなどの機器を見て確認する(強迫行為)時間が長くなるほど、このような強迫観念が生じやすくなり、コントロールが難しくなります。
★2 怖い機器を使わないようにする――恐怖心によって機器の使用を回避するのは強迫行為です。具体的には外出前に、IHやアイロンを使わないようにするなどです。そのような回避を繰り返していると、これらの機器への苦手意識が増し、強迫観念も生じやすくなります。
★3 電気のコンセントでの発火――トラッキング現象といって、電源コンセントに差し込むプラグ部分で発火するものがあります。ただし、プラグにほこりが付いただけでは電気を通さないので発火しません。ほこりが水気などを含み、適度な電流を通す状態になるという特別な条件が偶然にそろわないとトラッキング現象は生じません。
OCDの人は、断片的な情報を元に、危ないと思い込んでしまっていることがあります。一方で、冷蔵庫のように裏側のようにほこりがたまりやすい場所にプラグがあり、さらにプラグをさしたままであっても、強迫行為を実行するには難しいものに対しては、強迫行為の対象から除かれることがあります。そのような矛盾を抱えていることがあります。
★4 確認したところの写真を撮る――このような行為は後で不安になったときに、その不安を打ち消すために行うので、強迫行為になります。
★5 実際にしてはいないが、「もしも」を考えてしまう――強迫観念では、悪いことが起こるような気がしても、悪いことの内容や原因が不明瞭なことがあります。しかし、不安や恐怖が強いと、それを防ぎたくなり、強迫行為をしたいという衝動に駆られてしまいます。

OCDは、強迫観念と強迫行為の悪循環によって、症状が悪化します。強迫症状に陥っているときは、上記のように既に強迫行為をしてしまっているので、まずそれに気づけるといいのです。(参照:OCDの心理教育

次回のコラムでは、座談会の後編Vol.2を掲載します。