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OCDを知る週間~多くの人に強迫症を知ってほしい


「強迫症(強迫性障害)を知る週間(OCD awareness week)」は、国際的に、多くの人々にOCDとその関連疾患について知ってもらうための活動が行われる1週間です。毎年10月の第2週に行われており、今年は10月11日(日)~17日(土)です。
アメリカのIOCDF[1]とイギリスのOCD-UK[2]という団体を中心に、さまざまな啓発活動が行われています。その活動内容を紹介するとともに、日本で個人や団体でもできそうな活動を提案します。


目次
§1 OCDを知る週間とは
§2 日本での精神疾患の認知度
§3 アメリカ・イギリスでの活動
§4 身近な人から伝えよう


§1 OCDを知る週間とは
「アイス・バケツ・チャレンジ」という活動をご存知でしょうか? 2014年にアメリカで始まったチャリティー活動です。テレビなどでバケツに入れた氷水をかぶる映像をご覧になった方も多いと思われます。この活動は、筋萎縮性側索硬化症 (ALS)という病気を多くの人に知ってもらうことと、治療研究などの支援のために募金を集めることを目的としていました。このように、一般にはあまり知られていない病気を、多くの人たちに知ってもらうための活動が、世界中で、さまざまな団体によって行われています。OCDについても、アメリカやイギリスの団体を中心に行われており、「OCDを知る週間」もそのような活動の一つです。また、アメリカ・イギリスの団体では、「OCDを知る週間」以外の時期にも、ウオーキングやマラソン、サイクリングなどのチャリティイベントを通して、啓発活動や募金活動を世界各地で開催しています。

一生のうちOCDという病気を経験する人は、世界のどこの国でも人口の1~2%はいると推計されていますが、その割には、「OCD」「強迫症」「強迫性障害」という病気の名前を知らない人も少なくありません。

人口の1~2%にあたるOCDの経験者のなかには、軽度の患者さんも含まれます。OCDのために医療機関を受診する人は、概ね中等度以上で、苦痛を感じ、生活への支障がある人です。なかには、重度であっても受診に抵抗がある人もいるため、実際に医療機関を受診する人はOCDの経験者全体に比べて、少ない割合となります。

しかし、重度のOCDの人は、生活面に多大な支障を抱えており、深刻な状況に置かれている場合があります。重度のOCDで苦しんでいる人が置かれている状況や、適切な治療をすれば症状の改善が可能だという事実、一方で、OCD治療の普及が十分ではない現状を、多くの人に知ってもらうことが必要です。OCDの患者さんは、有効な治療にたどり着くまでに、発症後何年もかかることが少なくありません。それは海外においても同じだそうです。

OCDの患者さんを取り巻く現状を考えて、「OCDを知る週間」では、OCDの患者さんが、適切な治療へアクセスしやすくなることも目標の一つとしています。

§2 日本での精神疾患の認知度

日本で、OCDの認知度にかかわる大規模な調査はないと思われますので、ここでは、精神的な問題全般について、平成20年度に行った調査の結果の一部を紹介します。この調査は、10代の若者(中、高、大学生)1万550名、および小・中学生の保護者(約1,100名)を対象にしています。[3]

精神的な不調を感じたときに相談する相手として、10代の大多数が家族や友人を挙げていて、医療従事者などの専門家に相談すると答えた人はわずかでした。また、同様の質問を、小・中学生の保護者にしたところ、学校の担任教師が約75%、近所の内科・小児科医が約27%という回答が得られました。

次に、精神的な不調で困ったときに、10代の若者が、相談する相手として抵抗がある人物には、学校の担任教師と医師などの専門家が挙げられていました。また、小・中学生の保護者のうち30%以上の人で、精神科クリニック、精神科病院へ相談することには抵抗があると回答していました。このように日本では、まだ精神科に対して抵抗がある人が多く、とくに自分の子どもとなると精神科の医療機関には行きづらいと考える人が少なくないことがわかります。

また、精神疾患を発症した人が家族にいる人たちに「ご家族が精神疾患を発病される以前に、精神疾患について学ぶ機会はありましたか?」という質問したところ、95%の人が「なかった」と答えていました。これらの結果から、一般の方々は精神疾患についての知識があまりないことが想像されます。だからこそ、これからは教師をはじめとして社会の多くの人に、OCDなどの精神疾患について知ってもらうことが大切だと考えます。

認知行動療法のような専門的な治療も徐々に知られてきましたが、日本の医療機関ではいまだ十分に普及しておらず、どこに行けば治療が受けられるのかわからずに、困っている患者さんは少なくありません。今後、このような専門療法が普及するためには、保険制度や専門家の養成システムなど社会のしくみが変わることが求められます。そのためにも、幅広い国民の理解と支持が得られるとよいでしょう。

§3 アメリカ・イギリスでの活動

「OCDを知る週間」という活動は、アメリカではIOCDF(国際OCD財団)[1]、イギリスではOCD-UK[2]などの団体が中心となって行っています。遠隔地もしくは引きこもりの当事者でも参加できるように、インターネットを活用してアピールする形態が多いようです。主な活動には次のようなものがあります。




§4 身近な人から伝えよう

私たちはどのようなかたちで、OCDについての情報を伝えることができるでしょうか。海外での活動を参考にして考えてみたいと思います。

まず、視聴者からのメッセージなどとともに、番組で取り上げてほしいことを募集しているテレビ番組がありますので、そこに、10月の第2週は「OCDを知る週間」なので、そのことについて取り上げてほしいと、リクエストをしてみるという方法が考えられます。

また、10月の「OCDを知る週間」の期間中に、次の文章例を参考にしたり画像使ったりして、知り合いに手紙、メールを書いてみるということが考えられます。また、ソーシャルメディアや掲示板などを利用して、強迫症についてのあなたの思いを伝えてみるという方法もあります。

●手紙・メールを知り合いに書いてみる。
     文章例:


●ソーシャルメディアやメールで、次の画像を添える。
Face bookやTwitterなどのソーシャルメディア、ブログ、掲示板などに、自分のOCDの体験やOCDについて書くときに、次の画像を使っていただいて構いません。また、強迫症を知る週間の期間中に、Face bookやTwitterのカバー画像に使っていただいても構いません。「OCDについてくわしく知りたい方は、インターネットで検索してみてください」と提案したり、あなたのお勧めのサイトなどを紹介してはいかがでしょうか。当サイトの紹介も歓迎です。



●インターネットで投稿やメールで、メッセージを添えた写真を載せる。
自分でメッセージをプリントして(手書きでもOK)、次のように写真を撮ります。



これらは、海外での活動を参考にした提案です。OCDの体験者だけではなく、OCDという病気を多くの方に正しく理解してほしいという思いがある方でしたら、このような方法で、身近な人から、メッセージを発信してみませんか。もちろん、そのほかの方法でも結構ですし、メッセージを発信することに戸惑いがある方は、その「戸惑い」を大切にして、活動に参加しなくてもよいと思います。



*参考
[1] IOCDF(国際OCD財団、International OCD Foundation)https://iocdf.org/ >Get Involved>Events
[2]OCD-UK http://www.ocduk.org/ >News> Awareness week
[3] 平成20年度厚生労働科学研究こころの健康科学研究事業「思春期精神病理の疫学と早期介入方策に関する研究」(研究代表者:岡崎祐士)研究分担者:西田淳志(東京都精神医学総合研究所)