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OCDコラム

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「OCDかな」と思ったときの相談先

自分が悩んでいることや家族が抱えている問題が、もしかしたらOCD(強迫症/強迫性障害)かもしれないと思ったら、ぜひ専門家に相談してください。とはいえ、専門家といわれても、実際にはどこに行けばいいのか戸惑う人もいるのではないかと思います。そこで、今回は、OCDの診療や相談を行っている専門家とはどのような人なのか、そして、そのような専門家はどうやって探せばよいのかをご紹介します。


目次
§1 第一の相談先
§2 治療がうまくいかなかった場合
§3 子どもや発達障害を抱えた人のOCD
§4 医学的に根拠が確かな治療を選ぶ


§1 第一の相談先

次のようなことに気づき、「OCDかな?」と不安に感じたら、第一の相談先は地域の精神科、心療内科のクリニック、病院となります。


このような悩みをもつすべての人がOCDというわけではありません。ただし、OCDなどの病気かどうかの診断は医師にしかできません。気になることがあったら、病院を受診してください。

そこで、医師からOCDと診断されたら、そのまま薬による治療を始めることが一般的です。薬の処方は医師にしかできませんから、病院での治療となります。薬以外の治療に認知行動療法がありますが、こちらは医師に限らず(臨床)心理士*1が行うこともあります。しかし、認知行動療法も医療行為ですので、精神科医が中心となることが原則とされています。

なかには精神科の病院に行くことに抵抗がある人もいるかもしれません。学生や児童でしたら、スクールカウンセラーや養護教諭に相談して一緒に考えてもらったり、医療機関を探す手伝いをしてもらったりすることも考えられます。また、成人の方でしたら、市区町村や保健所などが行う精神保健福祉相談を利用したり、勤務先の産業医、産業保健担当者に相談したりする方法が考えられます。このような病院以外の相談先にいる職種の人でも、OCDについてある程度知識があれば、適切なアドバイスをしてくれることがあります。ただし、先ほども申しあげた通りに、病気の診断や治療は医師しかできませんので、医療機関を受診することが第一ということは覚えておいてください。

地域の精神科、心療内科の医療機関を探すには、当サイトの「お近くの病院検索」をご利用ください。

§2 治療がうまくいかなかった場合

精神科の病院やクリニックに勤務している精神科医は、OCDだけではなく、うつ病や統合失調症などさまざまな精神疾患の患者さんの治療にあたるのが一般的です。したがって、必ずしもOCDの患者さんをたくさん診ているとは限りません。また、初診ではある程度時間をかけて診療をしますが、それ以降はあまり時間をかけられないのが現状です。

医療機関でのOCDの治療は、薬物療法が主流です。ある程度、薬による治療をしたものの十分な効果が得られない場合、薬を変えて治療を続けることがあります(⇒第122回OCDコラム 強迫性障害(OCD)のお薬Q&A①)。薬以外の治療法として、認知行動療法を検討する人もいるでしょうが、OCDに対して認知行動療法を行っている医療機関はまだ少ないのが現状です。さらに、2015年1月現在、OCDの治療として認知行動療法には健康保険は認められていません*2。したがって、OCDに対する認知行動療法は、医師や心理士が自由診療(保険外)として行っている医療機関もあります。

最初に受診した医療機関でOCDへの認知行動療法を行っていればよいのですが、そうではない場合、新たな施設を探さなくてはいけません。精神科では、内科や外科ほど、クリニックから専門的な病院を紹介するシステムが整っていません。実際には、患者さんや家族が自力で探すケースが多いでしょう。

医師以外でも、心理士のように認知行動療法の研修を受けた医療・心理の有資格者は、認知行動療法をすることができます。一方で、精神科医、臨床心理士の資格をもっていても、すべての人が認知行動療法を学んでいるわけではありません。たとえば、学校のスクールカウンセラーは、臨床心理士の資格をもった方が多いのですが、認知行動療法ができるとは限りません。心理士、医師のなかには比較的少数ですが、日本認知・行動療法学会の認定資格である行動療法士*3の資格を取得した人がいて、そのような人たちはOCDへの認知行動療法を行っています。

ただし、OCDは精神疾患なので、主治医以外の人から認知行動療法を受ける場合でも、原則として主治医に相談して、承諾を得る必要があります。認知行動療法には、さまざまな技法があり、うつ病の治療で一般的に使われる技法とOCDに対する技法とではだいぶ異なります。そのため、認知行動療法を行っているかどうかを問い合わせする際には、OCDに対する認知行動療法が可能かどうかを確認するようにしてください。

インターネットで認知行動療法を行っている施設を探す場合、「強迫性障害、認知行動療法、○○県」などの単語を入力して検索する方法が考えられます。ただし、インターネットの情報は、信頼性が疑わしいものもなかにはあるため、精神医学に基づいた情報であるかどうか注意する必要があります。

ほかには、OCDの患者会や自助グループを通して、ほかの患者さんから情報を得るということも考えられます。患者会や自助グループでは、医療機関の紹介をしているわけではありませんが、同じ病気で実際に治療を体験している人たちの話は現実的で役立つことがあります。

§3 子どもや発達障害を抱えた人のOCD

子ども(18歳以下)の患者さんでは、大人のOCDと同じように、「汚染/洗浄」や「被害/確認」として症状が現れる場合と、典型的なOCD症状がみられない場合とがあります。子どもの場合、身体だけではなく精神も発達途上の段階なので、大人に比べて他の精神疾患との区別がつきにくいことがあり、さらに、自分の症状を言葉で伝えるのが得意ではないこともあり、妄想か強迫観念かの区別が難しい場合があります。そのため、子どもの患者さんでは、児童精神科思春期専門外来への受診も検討されます。

OCDと思われる症状が、本当に強迫症状なのか、発達障害(自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害など)を原因とするものなのかの判断が難しい場合があります。児童期、思春期、青年期と年齢を重ねるにつれ、進学や就職といった環境の変化が訪れますが、そのようなとき、新生活への適応が難しい人がいます。それが、発達障害によってなのか、OCDのような精神症状が影響しているのか、こだわりの対象が変わったのか、よく事情を聞いていかないとわからないこともあります。発達障害を抱えていて二次的にOCDを発症する人もいますし、成人になってから発達障害を抱えていたことに気づくケースも少なくありません。このようなことも踏まえて、発達障害についても知識が深い医師や医療機関を探すことが、ときには必要なこともあります。

発達障害の診断を行うために、心理検査や脳機能検査を行う医療機関があります。知能(IQ)検査を行う場合もありますが、それは物事の理解や処理において得意な分野と苦手な分野とを知ることで、診断の参考にするためです。しかし、これらの検査は、非常に時間がかかるため、通常の外来診療とは別の時間に行ったり、別途費用が必要なことがあります。

ただし、児童精神科や発達障害にくわしい医師が、必ずしもOCDにくわしいとは限りません。一般の精神科医でOCDにくわしい専門家を探したほうがよい場合もあります。

児童精神科やOCDの治療を得意とする医師や専門外来はどちらも多くはないため、地域の実状によって探すことになります。通院可能な地域に専門外来があるかどうかは都道府県の精神保健福祉センターに問い合わせる方法があります。

§4 医学的に根拠が確かな治療を選ぶ

海外では、イギリスのように精神疾患ごとに治療ガイドラインを作成し、有効であることが確かめられた治療法の普及に努めている国があります。しかし、日本では、そのようなシステムはなく、根拠が確かな情報を選ぶ難しさを感じている人もいるでしょう。インターネットなどの情報は玉石混淆で、医学的に有効性が疑わしいアドバイスが掲載されていることもあります。そのような情報に惑わされて悩んでいる人の例を紹介します。


OCDの治療として有効であると医学的に認められているのは、薬物療法と認知行動療法です。これらの治療を行っている医療機関を、通院可能な範囲で探してください。なかには遠方の医療機関へ通ったり、集中療法、入院による治療を受けたりする必要がある人もいます。その場合、医療費のほかにも交通費、ときには宿泊費もかかりますが、可能な範囲で改善の方法を模索していただければと思います。かつては重度のOCDであった人が適切な治療によって、症状の改善がみられ、社会復帰していくことも少なくないので、決して希望はなくさないでいただきたいと思います。


*注釈
*1(臨床)心理士――医療機関では、臨床心理士という民間資格を保持する者が多いが、それ以外の心理・医療の関連資格を有する者が認知行動療法などの心理カウンセリングを行う場合もある。臨床心理士が活動する職場は、医療・保健、学校・教育、司法、福祉、行政など多岐にわたり、精神科医療での経験があるとは限らない。現在、心理職の国家資格化に向けた運動が行われている。

*2 認知行動療法の保険適応――現在、認知行動療法が健康保険で認められているのは、うつ病などの気分障害の患者さんに対して医師が行う場合であり、OCDに対する認知行動療法は保険適応ではない。しかし、一般的な「通院・在宅精神療法」は健康保険で認められているので、その範囲で行われる場合もある。

*3 行動療法士――日本認知・行動療法学会の認定資格で、専門行動療法士と認定行動療法士とがある。学会員で心理士、医師、大学の教員などで、この資格を有する者がいる。
日本認知・行動療法学会のホームページ http://jabt.umin.ne.jp/index3.html