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OCDの会 第1回市民フォーラムレポート(2)
OCDと診断されるまで


去る10月23日、熊本市にあるOCDのサポートグループ「OCDの会」が、「第1回市民フォーラム」を開催しました。おそらく日本では初めての「OCD患者と家族の会」とあって、当日は、遠方からも患者さんや家族の方が参加されました。なかには、匿名で悩みをつづった手紙を送ってきた方も。そのなかに、こんな方がいました。


●小学生の娘にある日、異変が。

――中1の娘がいます。一人っ子ですが、8歳までは普通でした。ところが、9歳ごろから、下痢をこわがって、トイレに入ったときに私を呼ぶようになりました。
「下痢するかもしれない、大丈夫? 大丈夫よね?」
トイレに入るたびに、ドアを開けっぱなしで、「ママ、ママ」と呼びます。その頃から、娘と私の地獄のような生活が始まりました。

娘は学校から帰るとすぐにトイレに入り、時には3時間も入っています。その間、私は家事もできません。夜は夕食とお風呂の後、寝るまでトイレです。私は自分の育て方が悪かったのではないかと自分を責め、周りからも責められたこともあり、娘を殺して自分も死のうかと思ったこともありました。娘もトイレで「助けて、ママ」と泣いていたこともありました。「死にたい」と言ったこともありました。

娘と一緒に、半年ほど苦しみました。いろいろな相談室に行きましたが解決にならず、やむをえず小児科へ行きました。小児科では「子供が親に甘えすぎて、一人でトイレにいるのが不安なのかもしれません」と言われ、入院することになりました。「一人でできる自信をつけさせたらいい。もしかしたら治るかもしれないが、かえってひどくなる可能性もあります」と言われましたが、すがるような思いで入院させました。退院後は、状態がもっとひどくなりました。

●小児科から内科へ。腸の検査までして……

疲れきっていた私は、娘の学校が休みの週末だけ、実家に戻りました。娘がトイレの間、私か実家の母がずっとついている状態です。ちょっと離れていると「おばあちゃん、ママ」と叫びます。娘はお尻を見せ、「大丈夫? 何もついてない?」と聞きます。「大丈夫よ」と言っても「ほんとに?」としつこく聞くようになりました。

腸にポリープでもあるのではないかと思い、病院を訪れ、4か所目で、全身麻酔で透視検査をしてもらい、大腸に影があるといわれました。3日間入院して精密検査を受けました。私はポリープがあるように祈りました。それさえ取れば、娘は治ると思ったのです。

ところが、検査の結果は「異常なし」でした。また振り出しに戻り、どうしたらいいかわからなくなりました。するとその病院の小児科の医師が、もしかしたら精神的なものが原因かもしれないと、心療内科を紹介してくれました。そこで初めて、娘がOCDだとわかったのです。

●OCDという病気を、医師も知らなかった。

OCDという心の病気を知らない医師が、なんと多いことでしょうか。
発病から心療内科を受診するまで、1年半もかかりました。娘もつらかったはずです。
娘はその心療内科でも治療に思ったほどの効果がなく、7病院目でやっと現在の病院(国立病院機構 菊池病院)にたどりつき、治療を受けることができました。

現在はトイレの時間も15分から30分と短くなり、一番悪い時期を100とすると、80ぐらいは治っています。確認回数も激減しました。私をトイレに呼ぶことも、ごくたまになりました。病院に通って、本当に救われました。今後も別の強迫症状が出るかもしれず、不安はありますが、先生を信じてついていきたいと思っています。(終)

●精神科受診へのハードルはまだ高い……でも、勇気を出して!

この方のケースは、OCDという病気が、医学界でもいかに知られていないかを、改めて考えさせてくれます。相談室の職員や小児科の医師も含め、一般社会にOCDという病気についての正しい知識があれば、娘さんも、おかあさんも、回り道をしなくてすんだことでしょう。

「OCDの会」会長の児玉政美さんは、だからこそサポートグループを作った、と言います。
「OCDに限ったことではありませんが、一般社会の精神科に対するイメージがあまりよくありません。事件などがあると、新聞や雑誌などに精神鑑定とか、精神科通院歴などが書かれていることもひとつの原因かと思います」

「自分自身も、精神科に通うことになるなんて、と考えたこともあります。頭の中では、怪我をしたら外科に行って、風邪をひいたら内科に行って、心が病んだら精神科に行って、とわかってはいても、やはり現実、身内の中に精神的疾患を持つものがいたら、いろんな方法で隠そうとすることが多いのではないでしょうか」

「正直、とても悔しい思いです。精神疾患で悩む人は、一人で病気に苦しんで、その上にまた、世間の偏見とも戦わなければいけない状況なのです。そんな偏見を少しでもなくしていき、病気になった人が病院を受けやすく、周りの人が治療を応援してあげることができるような状況に変えていきたい。それが「OCDの会」の思いであり、私自身の強い願いです」

最近では、そうした偏見を打ち破るような、患者が受診しやすい雰囲気に配慮をした精神科の病・医院も増えてきています。OCDに悩み、治療を受けたいと思っている方は、勇気を出して、病・医院の門を叩いてみてください。
OCDは、適切な治療によって治る病気なのです。それを現実に証明してくれている仲間たちが大勢いるということは、心強いことですね。

OCDの会ホームページ
http://ocd-2004.hp.infoseek.co.jp/