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OCDコラム

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病院に行きたがらないOCD患者に対して家族はどう接すればいい?


メールマガジンの読者から、こんなご相談が届きました。

「私の家族はOCDではないかと思いますが、不安のため病院に行ってくれないので、OCDかどうか確定はできません。けれども、あることが気になって不安になって、何度も何度も確認してきます。こうした患者に対し、家族はどういう心構えで接していけばよいのでしょうか。よい対処方法を教えてください」

■病院への受診を説得しましょう
家族として、確認行為に繰り返し付き合わされることは負担でもあり、本人の今後のことを考えると心配にもなりますね。本当に本人のことを思うなら、まずは近所に信頼できる専門医を探し、受診をしてもらうよう勧めることです。 [お近くの病院検索⇒]  つまり、問題を「あなたと本人との一対一の関係」から、「医師と本人の関係」にあずけるのです。そして、医師からの病気や症状についての説明をよく聞き、本人も家族も、医師からの指示を実行するようにします。


でも、もし本人が病院に行きたがらないときはどうしたらいいでしょうか。
病院に行きたがらない理由として、こんなことが考えられます。
  • 精神障害という烙印を押されるのを恐れている。
  • こんな症状があるのは自分だけだと信じている。
  • どんな治療をしても治らないと思っている。
そこで、家族の方は、ぜひ次の2つのことを説得してあげてください。
  1. 強迫観念や強迫行為はOCDという病気の症状であり、本人の人格には何の関係もないこと。
  2. OCDは治る病気であり、最近、効果的な薬の登場などによって、改善率が向上していること。
OCDは疾患であって、本人の意志が弱いとか、本人がだめなわけではないということを強調しましょう。本人も家族もこの病気についてよく知り、治療の選択肢や、さまざまな研究などの情報についてオープンに話し合うことが、治療後の良好な結果に結びつきます。

■強迫行為の手助けには制限を設けましょう
OCD患者は、繰り返し襲ってくる強迫観念を追い払おうと、確認や洗浄などの強迫行為 [OCDの症状⇒]  を行います。時には強迫行為を手助けしてもらおうと、家族や周囲の人を巻き込むことがあります。この方のケースのように、家族に対して繰り返し確認を要求したり、あるいは部屋の徹底的な清掃を要求したり、というものです。

本人がこうした症状を見せたとき、家族はとりあえずは本人の気のすむように、確認や洗浄などの強迫行為を手伝ったほうがよいのでしょうか? それとも心を鬼にして要求を拒絶したほうがよいのでしょうか? 悩むところですね。

現在のOCDの治療の考え方においては、「家族は巻き込みには限界を設定することが必要」とされています。強迫儀式を手伝ってほしいという本人の要求、つまり<巻き込み>要求に対して際限なく応えていては、かえって症状が悪化すると考えられています。「一回だけですよ」などと制限を設け、あとは拒絶するほうがよいでしょう。要求を拒絶することは、家族の方にとって短期的には苦痛なことでしょうが、長期的には非常によい結果につながります。

OCD患者に対して家族ができることはたくさんあります。下記を参考にしてください。

  • OCDは治療可能な障害であり、症状は人格的な特徴ではなく、患者の過ちでもなければ家族の過ちでもないことを覚えておく。
  • 症状に気づき、OCDであると認め、患者が自分の問題がOCDであることを認識できるよう援助する。
  • 治療を求めるように患者を励まし、患者の回復への決意を支援する。
  • OCDについて可能なかぎり学び、患者に役立つ情報を探す。
  • 患者が自分の問題について説明できる時間を作らせる。これによって患者は孤立感を感じることが少なくなる。
  • 治療を継続するように患者を励ます。後退が起こりうることを理解し、後退が生じてもがっかりせず、たとえ小さなものでも改善すればほめる。
  • 患者に対する支えとなるべきで、強迫観念や強迫行為を支援してはいけない。家族は、患者が自分の症状に抵抗するように励ますことで患者を援助することができる。
  • 日常生活の日課を正常に保ち、儀式や強迫行為に順応させるために生活を変えてはいけない。同時に、患者の問題には敏感でいる。
  • OCDの改善には何カ月もかかることがある。あまりに早く、あまりに多くのことを期待しすぎない。
  • ユーモアが役に立つ。OCD患者は自分の行動の滑稽な面に気づいていることが多いので、ユーモラスな表現によって、患者自身が自分の置かれた状況を距離を置いて見られるように手助けすることができる。
(スチュアート・モンゴメリー、ジョセフ・ゾハー著 OCD研究会訳『強迫性障害』より)